ファンドリンク型保険の見直しについての相談がまた増えてきている気がします。
コロナの影響でオンラインでのセミナーが増えて新しい形での勧誘が始まっているのでしょうか・・・。
ファンドリンク型保険(または投資リンク型保険)の代表的な商品はこのようなものがあります。
- RL360
- フレンズプロビデント
- エボリューション
- オスカー
- コロンバス
これらの商品は香港ではILAS(Investment-Linked Assurance Scheme)と呼ばれています。
もし英語で検索などを行う場合は参考にしてみてください。
本記事では各商品についての良し悪しを述べるつもりはありません。
契約をした後に見直したいという方に向けて参考になるであろう考え方についてお伝えします。
目次
ファンドリンク型保険の特徴
ファンドリンク型保険とは、保険商品という形式の中で様々なファンドを購入していく形式の商品です。
運用は自分でもできますが、ほとんどのケースではIFAに一任して運用してもらうこととなります。
オフショア投資の商品カテゴリの中でも、保険会社ではなくIFAが運用を行うという特殊な商品です。
日本国内の商品だと、iDeCoや確定拠出年金が近いかもしれません。
購入できるファンドの種類は大きく異なりますが。
これらの商品はボーナスや手数料の計算がとても煩雑でわかりにくいという特徴があります。
また、当初契約の「積立期間」「積立金額」を満了しない場合に失うものが多いというのも特徴です。
最初だけ高額を積み立てて途中から減額または停止、などは地獄の入口ということですね。
そういう契約をしてしまった場合、放おっておけばどんどん資産が毀損することにもなりかねません。
見直しの基本方針はこの3つ:増額、維持、損切り+IFA移管
見直しの基本方針は増額、維持、損切りの3つです。
そのうえで、増額または維持を行う場合はより運用成績の良いIFAに移管するという選択肢もあります。
まずはそれぞれの選択肢を見てみましょう。
増額を選ぶケース
減額や拠出中止をしてしまったが、今から当初の金額に増額できる場合は増額を検討するのが最も利益が大きくなるでしょう。
拠出を予定通り行うことが手数料が低減することに繋がるという商品だからです。
その上でIFAの移管(後述)も検討すると良いでしょう。
維持を選ぶケース
減額した状態でそのまま満期まで支払いを続けるというケースです。
途中から大きく減額している場合は実質手数料率が5~6%となっていることがよくあります。
その上で運用成績が8~10%であれば、3~4%前後の資産成長が見込めるますね。
運用成績が振るわないのであればIFA移管は必須になるでしょう。
ただ、維持のケースでプラスに転じる例はあまり多くはありません。
運用成績と手数料がトントンになるか、またはマイナスになる例が多いからです。
25年間支払い続けて、資産がほとんど増えないというのもとてももったいないですよね。
損切りをするケース
損切りは合理的なのですがなかなか精神的に選びにくい選択肢です。
今まで支払った金額の大半を諦めることにもなりかねません。
でも、資産運用の目標は「今まで支払った金額を取り戻すこと」ではなく「未来の資産を大きくすること」ですよね。
- 2~3年間の拠出金額を諦めるかわりに、今後17年間を着実に増やす事ができる
- 減額したまま拠出を続けて支払った金額をなんとか払い戻せるまで十数年続ける
という2つのケースでは、前者の選択肢のほうが資産額が大きくなります。
貯蓄型生命保険などの元本保証があり、IFAではなく保険会社が運用をして、マイナスリスクも変動リスクも少なく、安定して5~6%増える商品に乗り換えると殆どのケースで20年後の資産額が改善されます。
IFAの移管も検討する
そのうえで、運用成績が悪い場合は実質手数料負担率と運用成績を分けて考えた上で、
未来の予想される運用成績と、未来の手数料率を比較した上で移管の要否を考えましょう。
運用パフォーマンスより手数料が高いのであれば、目減りしていきますからね。
なお、私が持っている契約では長期平均で年利10%を超えるパフォーマンスになっています。
バックテストにどれだけの意味があるのかという議論もありますが、一つのラインとしてはリーマンショックもコロナショックも乗り越えて高パフォーマンスとなっているIFAであれば安心だと思います。
方針を選んでいく手順
ここまで見直しの3つの方針をご紹介してきました。
現状維持は最もリターンが少なくなる可能性が大きく、増額または損切りから選んでいくことになると思います。
本格的に検討するのであれば未来の手数料を細かく計算した上で選択肢を比較していくのですが、
ここでは最適な戦略を導く3つの質問をしていきます。
悩んでいる方はまず考えてみてもらえればと思います。
Q1. 現在契約している商品(RLやフレンズなど)を今後も信頼していけますか?
もし答えが「NO」であれば、損切りを検討することをおすすめします。
人間は感情の生き物ですので、今後も数十年間疑念を持って過ごしていくことは精神衛生上も良くないですし、また途中解約を検討する原因にもなります。
現状維持を長く続けてしまうのは最終的にはマイナスになりますので、保険会社自体を信頼できないのであれば辞めたほうが良いと思います。
なお、IFAや紹介者であれば移管することで解決するので、あくまで保険会社への信頼です。
「NO」であれば【損切り戦略】
「YES」であれば、次の質問へ↓
Q2. 当初の契約金額の何割まで支払うことができますか?
もし答えが「支払えない」「半分以下」であれば続けることは困難でしょう。
逆に、「100%満額支払える」のであれば、増額して継続していくのが良い可能性が高いです。
7割ほど支払えるケースの場合は、継続するのか、損切りするのか、微妙なラインです。
また、拠出を減額・停止していた期間の長さが長い場合も微妙なラインになります。
損切りしてより安定した商品に乗り換えたほうが未来の精神安定上良いとは思いますが、損切りという決断は勇気が必要です。
一度正確に計算してみることをおすすめします。
「半分以下しか支払えない」であれば【損切り戦略】
「満額支払える」であれば【増額戦略】
それ以外であれば細かく計算した上で【損切り戦略】または【維持戦略】
【増額】または【維持】の場合は次の質問へ↓
Q3. 現在のIFAの長期的な運用成績はどうですか?
最後に、IFAの運用報告書を見てみましょう。
リスク許容度に応じて積極型、バランス型、保守型などのポートフォリオを各IFAは用意していると思いますが、
好況期は積極型が良い成績となり、不況期は保守型が良い成績となります。
IFAによっても、どんな景気のときにパフォーマンスが出るのかは大きく異なります。
ITバブル崩壊、リーマンショック、コロナショック等と様々な変化もあります。
その大きな変化が相次ぐ中で運用を続けていきますから、3年などの短期成績は大きな意味がありません。
5~10年(できればもっと長期)の運用成績を確認します。
その上で成績が悪いのであれば移管を検討することをおすすめします。
なお、移管自体に大きな費用はかかりません。
未来の手数料の計算には正しい商品理解が必要
今回の記事で多くのケースで方針を定めることが出来るのではないかと思います。
ただ、場合によっては今後の手数料などの計算をしていった方が良いのも事実。
手数料についてはこちらの記事が参考になるでしょう。
最も相談の多いRL360についての記事ですが、ファンドリンク型保険はどの商品もだいたい同じ考え方ですので、
各社、○○は手数料が高い、などと営業されていますがそこまで大差ありません。
メガバンク3行でどこを選ぶか、といった違いくらいです。
なお、FPサービスとしてエクセルで未来の手数料と想定リターンのシミュレーションを作成することも可能です。
こちらは労力もかかるので少々費用をいただきますが、相談は無料ですので興味がある方はメッセージください。
最後に:納得した上で未来を展望しよう
私はファンドリンク型保険にそこまで否定的ではありません。
RL360の契約も持っています。
ただ、長期間当初の契約通り拠出続けないと本来のパフォーマンスとならない設計になっている商品であることは間違いありません。
そのあたりの説明を納得した上で保有しているのでなければ、一旦見直したほうが良いかもしれないですね。