株価の急落。
投資を始めた方であれば、自らの資産額を見てショックを受ける人も少なくないでしょう。
投資経験の長い方と、初心者の方では行動が大きく変わるのが暴落時です。
今までコツコツと積み上げてきた資産を失うのはいつだって暴落時です。
でも、暴落によって失うというわけではありません。
そんな失敗をしないためにも、暴落時への対処法を覚えておいてください。
この記事では、暴落時にやってはいけないことと、それを知った上でどう対処することができるのかをお伝えします。
目次
下落相場で絶対にやってはいけないこと
狼狽売り
下落相場で絶対にやってはいけないことは狼狽売りです。
狼狽売りとは、株価が急落した際にパニックになり慌てて売ってしまうことです。
投資の原則は「安く買い、高く売る」ことです。
言われると当たり前のように感じるこの原則も、多くの人が逆の行動をしてしまいます。
例えばリーマンショックの際の報道を思い出してみてください。
テレビでは連日金融危機の解説が行われ、米国の金融機関が破綻に向かう様子を報道していました。
株価も連日急落を続け、毎日のように資産が大きく減っていきます。
2020年3月のコロナショックのほうが思い出しやすいでしょうか。
クルーズ船が世界から注目をされて毎日のように感染者が増加する様子が報道され、国境が閉じていき、航空便が減便していきました。
旅行業、飲食業に与える影響や物流の混乱、工場の停止、出勤の停止というニュースが流れ、緊急事態宣言の検討が行われていました。
今後の世界経済はどうなってしまうのか、全く見通しの立たないというムードだったと思います。
どちらのケースも、もう投資は終わりだ、という声がSNSに溢れ、投資をしていなかった人が投資をしていた人をギャンブラーのように扱う投稿も増えていきます。
家族や親戚から「なぜ投資などしてしまったのか」と詰め寄られたり冷たい眼差しで見られる方もいるでしょう。
そんなときに「下落したから買おう」となりますか?
「このまま持っていたらもっと下がるかもしれない・・・」と思って売ってしまう人のほうが多いことがわかっています。
投資はギャンブルではない、全員が豊かになれることのある方法です。
そうだとしても、損をした人の分だけ得をする人のリターンは増えていきます。
それを狙っているのが世界の機関投資家です。
下落時の売リたくなるような情報が並んでいる裏では彼らが安値で買い漁っています。
ショートやベアファンド
下落時でも上昇している商品というものは存在します。
ショートというのは売りから入る信用取引手法のことで、下落時に利益を得ることのできる投資手法です。
ベアファンドというのは、市場の動きと逆に動くファンドのことです。SPXSというETFなどがどその代表です。
その他にもVIX指数に連動するものなど、株価の下落局面において利益の得られる商品というものが存在します。
もちろん需要があるのでそういう商品がありますし、利益を得られる方もいるのですが、かなりの熟練した投資家にしかおすすめできないものです。
世界経済は大きなトレンドとしては右肩上がりで成長しています。
その間の瞬間的な下落を狙うのが、このような投資手法です。
私の考えでは、これは投資ではなく、投機です。
投機が全てダメだと言うつもりはありませんが、世界経済が動く要因を理解した上で報道よりも早く情報を得たり、誰よりも早く変化の影響に気づく方でなければ難しいと思います。
少なくとも私はおすすめするつもりはありません。
ほとんどの人は投資のための情報収集を四六時中やっているわけでもなければ、ずっとチャートに張り付いているわけでもないからです。
これらの投資手法は下落局面においても利益が出る可能性がある一方で、全ての投資元本を失う可能性もあるものです。
損をしてしまうと、どうにか取り返そうとしてしまうものですが、大きな損失も数年かけて取り戻していけばよいのです。
瞬間的な下落を数ヶ月で取り戻すと聞くと気が遠くなるかもしれませんが、それの繰り返しが現在の世界経済です。
そして、その世界経済を対象とした株式投資の平均成長率は5~10%と必要十分なリターンが出ています。
下落相場に備える方法
下落相場時に狼狽売りをせずに信じて持ち続ける。
すぐに取り戻そうと思わずに、損失は数年かけて取り戻す。
それが下落相場における重要なことだとお伝えしました。
しかし、それをわかっていても実行できない方が多くいるのも事実だと思います。
人間は感情の生き物ですので、不安や焦りという感情があると合理的な意思決定が難しくなるからです。
そこに対する対処方法もお伝えします。
長期的な計画を持つ
1つ目は長期的な計画を持つことです。
なんとなく「資産が増えたら良いな」と思っているだけ投資をしていては、暴落時の不安に耐えられません。
その投資手法の長期的なリターンと、どのような暴落の可能性があるのかを知ること。
例えば、S&P500等の株式インデックス投資では年間最大-50%の変動の可能性がありますが、長期的にはプラスになることが過去のデータからわかります。
オフショア投資であれば、元本保証があるものはどれだけ下がったとしても元本が保証されています。
ここで抑えておきたいのは以下の2点。
- 下がったとしても長期的に上昇しているということを長期的なデータ(20年~)で確認する。
- 最も下がるケースではどのような下落が起こるのかを確認する。
もし長期的に上昇するかどうかわからない資産に投資しているのであれば、それは投資対象の選定を間違えています。
その場合は、必要に応じて損切りを行って投資対象を切り替える必要がありますね。
長期的に上昇することが確認できれば、下落時にどのように行動することが最良なのか「ロジックで」理解できることになります。
そして、下落時の積み立ては当然ながら「安く買う」行為ですので、将来のプラスに寄与します。
それを何度も何度も確認していくことで「正体のない不安」は少しづつ消えていきます。
正しい商品に投資をしていれば、瞬間的な急落は、10年後には誤差です。
それを頭と心で理解することが投資の成功に繋がります。
ルールを決めて、絶対に逸脱しない
ルールを決めて、絶対に逸脱しないことも重要です。
もし投資のルールを決めていないのであれば、すぐに決めてください。
短期投資(≒投機)であれば自由ですが、長期的な安心をつくる資産運用であれば長期的に同じルールで続けることが重要です。
○○年間は、株式市場に何があっても定額で積み立て続ける。その後○○年間は株式市場に何があっても保有し続ける。
というものが万人が実践できて効果的な戦略です。
投資について情報収集すると様々な手法を知っていくことになりますが、結局この方法が長期投資では最良だったりします。
アクティブファンドの8割がインデックスファンドに勝てていないという事実からも、機関投資家でさえこの手法にはなかなか勝てない事がわかっています。
それだけだと簡単すぎる、もう少し行動したいのであれば、例えば
○○%下落したら、○○ドル購入する
のような「安く買う」「高く売る」ルールを追加していっても良いでしょう。
株式と債券ファンドを組み合わせた最小分散ポートフォリオを毎月リバランスをするというものでも良いと思います。
重要なのは、ロジックとして正しい理論を何年間も変わらずに実践し続けることです。
ルール通り長期的に続ける環境を作る
最後にそのルールを長期的に続けるための環境を作りましょう。
投資だけの話ではありませんが、習慣化で重要なのは環境です。
精神力だけで続けることはほとんどの人にとっては難しく、そして辛いものです。
私も弱い人間なのでつい流されそうになってしまいます。そのための、環境作りです。
環境作りという点においては自由度の低い投資手法のほうが結果的に良かったりします。
いつでも買えて、いつでも売れて、様々な投資手法が試せる、となると今まで説明してきたような落とし穴にどんどんハマっていくことになります。
例えば、5年間支払続けなければ元本保証が手に入らない商品を選ぶことで5年間着実に積み立てられるようになります。
より将来の収入が安定しているのであれば、より長期の計画を持つことで資産総額は更に増えていくことになります。
若いサラリーマンの方であれば、20年間拠出を続けることも十分可能と思いますし、その場合の最終的な資産総額はものすごく大きくなるはずです。
重要なのは、途中で支払いを止めたり、投資を中断することに少しのハードルがあることではないでしょうか。
自由があると必要なことが疎かになってしまうというのは投資だけに限りません。
何時に起きて、何時に寝ても、どこで仕事しても良いという環境と、決まった時間に決まった場所で仕事をするのは、ほとんどの方にとって後者のほうが能率が上がると言われています。
自由というのはものすごく意思の力が必要になってしまい、心地よい状態ではなくなってしまうのです。
(私もフリーランス期間がありますが、コワーキングスペースなどいくつかの仕事場と時間を決めていました)
まとめ:暴落相場でも着実に未来に向かおう
今回は下落相場の際に絶対にやってはいけないことと、その対策についてお伝えしました。
ロジックとして正しい理論をお伝えすることは簡単なのですが、わかっていても実行できていない人が多いという難しい領域だと思っています。
記事の前半では、致命傷を負う可能性のある絶対にやってはいけないことをお伝えしました。
長期目線で考えて、「焦って行動しない」ということです。
後半ではそのためにどう備えていくのかをお伝えしました。
頭で理解して、そのために必要な行動をし続けられるようにすることです。
直感に反するかもしれませんが、自由すぎるとうまくいかないというのは是非参考にしていただければと思います。