日本の投資環境もかなり良くなってきて、S&P500などの米国インデックス投資を活用して資産を増やす方が増えてました。
そういう私自身も、国内外の証券口座や保険などを活用して、人生安心して暮らせる配当金を確保しようと資産運用を行い続けています。
投資は、正しい知識で堅実に行う限りにおいて、万人が活用するべきだと思っています。
米国株投資にも賛成ですし、S&P500を始めとした各種投資信託やETFも保有しています。
その上で、米国株投資に潜むリスクについてしっかりと考えていきたい、そう思ってこの記事を書きました。
今回は、私自身のポートフォリオや実際に考えていることを紹介します。
目次
そもそもS&P500とは?米国株インデックス投資とは?
S&P500は米国株式のインデックスの一つであり、全米の各セクター比率に応じて計算されているものです。
ものすごくざっくり言えば、日経平均株価のアメリカ版だと考えてもらえればよいでしょう。ただ、古くからある会社は利益が出ていなければ問答無用で外されるという、日経平均に比べるとより厳しい選定基準で選定されている指標です。
過去50年間の平均利回りは配当を加味すると10%となっており、今後も米国企業の成長が続く限りは上昇し続けると考えられています。
Amazon、NefFlix、Costco、Windows、iPhone、Android、CocaCola、P&Gなどに日本人や世界中の人達が時間やお金を使っている状態が終わらない限りは、世界の成長はアメリカに行き着くと考えており、今後も成長すると思っています。
年平均10%上昇するのであれば、それだけ持っておけばよいのでは!?と思いますよね?
でも、私はそうだとは思いません。
その理由と、私自身のアセットアロケーション(投資配分)についての考え方をお話していきます。
ある時期に米国株を買ったとしたら・・・
米国投資が人気な時期は過去にも何度もありました。
- まとまった資金が手元にあって、利回りがつかないのはもったいない!
- 資金があるのであれば、できるだけ早く利回りがつくところに移動したほうが良い。
という考え方には、私自身ものすごく賛成しています。
実際に、毎月の拠出の他にまとまった貯金ができたらすぐに投資に回しています。
ある人が、ある時期に全額S&P500に投資をしていたとしましょう。
1000万円が年利10%で運用されれば、15年後には4000万円になる計算になります。
「私ももう45歳。あと15年したら老後だから、資産運用を始めないとな。個別株はリスクが高いし、投資信託は手数料が高いと聞いたけど、米国株式のインデックスならリスクが低くて良いということなので、貯金1000万円を使ってS&P500を購入しよう!」
と、資産運用をはじめました。
なお、個別株がリスクが高いというのも、投資信託は(一部優良商品を除くと)手数料が高くリターンが期待できない、というのは、本当です。
この中の選択肢であれば、米国インデックス投資は悪くない選択肢でしょう。
2年後には「○○バブル崩壊」という言葉がマスコミを賑わしました。
投資した1000万円は800万円ほどにまで目減りしてしまいました。
それでも、「市場は必ず上向くのであるから、持ち続けていれば上がる!」と信じて持ち続けることにしました。
翌年、資産は600万円まで目減りしてしまいました。
それでも、持ち続けます。
2年後、少し回復して700万円になりましたが、依然として300万円がマイナスの状態。
この時点で投資をしてから5年が経過していました。
「下がったら上がるという話だったけど、5年かかってもマイナス300万円か・・・なんとかプラマイゼロにはならないものか」
更に3年が経過して、S&P500インデックスは購入時の価格を取り戻しました。
株価は上昇を続けており、久しく冷えていた投資ブームがまた戻ってきました。
「やった、8年間はずっとマイナスだったけど、やっと元本割れがなくなったぞ。もう私も53歳だし、老後は安心して暮らしたい。ここから上昇してくれ、頼む!!」
その2年後・・・・「○○ショック」が発生。投資した1000万円は600万円に下落。
この時点で1000万円投資をして10年間保有し続けて、結果はマイナス400万円です。
このまま世界経済がリセッション(景気後退)に入るかもしれない、という報道が連日続き、関連倒産が世界中で起こっている状況です。
さて、あなたなら、どうしますか?
ここまで読んで、「S&P500は長期的には上がるはずだから、そのようなことは起こらない」と考えた方は、リスクを取りすぎています。
つまり、あなたのリスク許容度はもう少し低いということです。
なんとかプラマイゼロで売り抜けるのがやっとであり、マイナスの状態で「早く手を引こう、投資なんてするんじゃなかった・・・」と考えるのではないでしょうか。
そんな事起こるの?と思う方もいるかもしれませんが、これはS&P500を1999年に購入した場合の、実際の値動きの通りです。
ちなみに、10年後でもマイナス400万円という状況でも信じて持ち続けて、更に4年持ち続けたところで元の値段に戻りました。
投資を始めてから14年間、ずっと含み損を抱えていた状態です。しかも、1000万円が600万円になる、というレベルの損失です。
14年後、投資時点で45歳だった場合は59歳。元本割れがやっと無くなったという状態です。
購入時から現在までのグラフを見ると、こういう状態ですね。
過去にも一度元本を回復したと思って、これからだ!と思ったあとに株価下落を経験しているので、このまま持ち続けるという判断が可能でしょうか?
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正直、ちょっと怖くないですか?
これがうまくいかなかったら老後資金がかなり不足してしまいます。
なぜ、投資なんて危ういものをしてしまったんだ。。と思う方は多いのではないでしょうか。
実際に、このような状況で投資を辞める方は非常に多くいます。
いつかは上がる、そう信じていても、精神的に耐えられなくなってしまうのです。
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ちなみに、先ほどもお伝えしたとおり現実の値動きを元にしておりますので、その後の「結果」があります。
さらに5年間保有し、投資開始から19年保有し続けることができていれば2000万円にまで増えました。
更にその3年後、株価は上昇を続け、22年後には3000万円弱となります。
(その23年後が現在の2022年です。)
実際のグラフは以下のとおりです。(Tradingviewより)
歴史的に見ても「S&P500は長期保有であれば上がる」のは間違いありません。
しかし、10年経っても資産が何百万円も下がっているという状態に、精神的に耐え続けることができる人は多くはありません。
毎日、毎日、株価下落のニュースを見たり、証券口座での含み損の金額を見たり、「投資なんかするからお金がなくなるんだ」というような心無い声を受けたり、それが何年も続くのです。
しかも、老後まであと10年、又は、10年後にはFIREしたい!のように資金需要が20年よりも近い場合には、相場があまり良くない時期に売却する必要がでてきます。
ですので、S&P500は、
- 何があっても全く気にせず持ち続けることができる!
- 15年以上長期保有する!
と決めて、全く動じない人だけが資産を増やし続けられる投資なのです。
これって、正直心の平穏とは程遠い状態になる方も多いと思います。
実際に2022年6月現在、半年ほど下落が続いていますが、インデックス投資の変動に耐えられずに辞めてしまう人も多いようです。
上のグラフをもう一度見てもらえれば、長期的に見たら下落幅はそこまで大きくないように見えますよね。
でも、2021年に投資を始めた人からすれば資産の数割が消えている、そういう状況なのです。
ではどうすれば?と言うと、よりリスクの低い資産をポートフォリオに組み込むことが安心に繋がるのではないかと思っています。
未来に向けた投資をする上で必須な2つの考え方
まず、ボラティリティという考え方を紹介します。
ボラティリティといは変動を表す言葉であり、値動きの大きさを表します。
ボラティリティが高いと言うと、値動きの上下が激しいことを指します。
先ほどのS&P500は中くらいでしょうか。
仮想通貨や、個別株はよりボラティリティが高いですよね。
それに対して、ボラティリティが低い資産もたくさんあります。
たとえば、定期預金や国内生命保険はボラティリティがゼロです。預けた時点で、未来にもらえる金額が決まってますからね。
そうきくとお気づきかと思いますが、ボラティリティが低い資産はリターンも低くなります。
当然ボラティリティが高いということはリスクが高いということなので、リターンも高くなる傾向になります。
どのリスクが心地よいですか?というのを「リスク許容度」と言います。
リスク許容度がギャンブラークラスに高い人は「資産が0になるかもしれないけど、でも100倍になるかもしれない、そういう投資をどんどんしよう!」と思うでしょうし、リスク許容度がかなり高い人は上で上げた例のように「10年後に資産が4割減になったとしても全然気にせず持ち続けるよ!」と思うでしょう。
でも、私のようにリスク許容度がそれなりの人は「ハイリスクのものも持つけど、ある程度は増えたいからそうじゃないものも持ちたい」と思うのではないでしょうか。
こればっかりはその人その人の特性でもあるので、何が正しいとかはないのですが、一般的には
- 若いほうがリスク許容度が高い(暴落しても、上昇まで待てる時間があるから)
- 余剰資金が多いほうがリスク許容度が低い(無理して増やすよりも、着実に運用すれば十分だから)
と言われています。
重要なのは自分のリスク許容度の把握とそれに基づいたアセットアロケーション
最後に、私が考える、未来や人生を安心するための心地よいリスク許容度の考え方と、それを元にしたアセットアロケーションを紹介します。
念の為ですが、本記事の全ての内容は私個人の体験及び見解です。当然ながら、投資は自己判断でお願いしますね。
私は、自分が行う投資を以下の3つに分けて考えています。
%の数値は「心の平穏」が保たれるおすすめの数値です。
- ギャンブル的要素は余剰資金のほんの一部(サテライト部分。全体の20%)
→もし一攫千金に成功したら、より早く配当生活(FIRE生活)がやってくるが、無くなってもさほど困らない資金。趣味として遊ぶ領域でもあります。
投資対象:仮想通貨、個別株、先物など - 長期投資はリスク許容度を比較的高める(30%)
→30~40年後の資産はある程度リスク許容度を高めることで、少ない金額で大きなリターンを得ることを目指す領域。
投資対象:米国株インデックス、レバレッジETF・投資信託、海外オフショア保険(ファンドリンク型保険) - 低リスクである程度増える商品で足元を固める(50%)
→ボラティリティ(変動)が低い状態にしておき、必要なときに躊躇なく使えるようにする領域。FIREや生活急変時、老後の土台。
投資対象:海外オフショア保険(貯蓄型生命保険)
というような形で分散させています。
重要なのは、それぞれの投資対象の特性を理解して、自分で心地よいバランスを作ることです。
下落相場でも平穏を保ち、市場から退場せずに投資を続けられることが長期投資には最も重要です。
未来の安心をつくるのが長期投資だと考えていますが、安心どころか心がザワザワしてしまい、そして利益も失ってしまうなんて結果になったら悲しすぎます。
働き方も、稼ぎ方も、生き方も、住む場所も、人それぞれ心地よいものが違いますよね。
投資も、同じです。