私は企業経営とライフプランニングには類似性があると思っています。
起業をして、コンサルタントという仕事もして、FPという仕事をして、たくさんの企業経営者や家計の悩みを聞いてきました。
そして、企業経営とライフプランニングでは考え方が同じところが多いことに気づきました。
今回は資産運用を行う上では人生の目標から考える事が重要である、ということを企業経営の考え方を用いてお伝えできればと思います。
この記事を読み終わればきっとあなたの人生の方向性も少し見えてくるのではないでしょうか。
目次
あなたの人生の目標はなんですか?
突然人生の目標と聞かれても困るかもしれません。
別に世界を変えたいなんて願っていないし、日々幸せに暮らせれば、、、と思っている人も多いのではないでしょうか。
それで良いのです、というか、それ粉をがあなたの人生の目標です。
人生の目標、多くの人にとっては幸福になることだと思います。
その幸福の形が人それぞれ少しづつ違うのです。
もちろん世界を変えたい、などの目標を持っている人もいるでしょう。
それも、素晴らしいことです。
本気でそうしたいと願うのであれば目標はなんでも良いと思います。
さすがに他者に迷惑をかける内容はご勘弁ですが、それを止める権利は私にはありません。法治国家では法律で定義するしかないですから。応援はしません。。
目標があり、その目標を達成するためにファイナンシャルプランニングがあります。いくら計画を作ったところで、その上位目標があやふやでは良い結果にならないですからね。
企業経営と人生の類似点
企業経営と人生設計って類似点がたくさんあると思っています。
個人の人生や幸福を対象とした学問よりも、起業経営の学問のほうが歴史が長いので経営理論というものはかなり確立されていると思っています。そして、それは個人の人生を設計するにあたっても参考にできると思っています。
企業経営で重要とされていることと、それが個人という視点ではどうなるのかを考えてみましょう。
理念・目標の重要性
経営理念(ミッション)があり、ビジョンがあり、バリューがあり、そのもとで諸々の活動を行っている。
というのが会社のあるべき姿と言われています。
このミッションやビジョン、バリューについての解釈はコンサルタントによっても分かれている気もしますが、細かい解釈が変わっても重要であることには変わりません。
そして、長期経営計画、中期経営計画があるはずです。
私がサラリーマンをしていたときは、中期経営計画が上から降りてきて、そこからブレイクダウンされた部署の計画に基づいて仕事をしていました。
大きな会社でも、小さな会社でも、未来へのビジョンや目標がない会社がうまくいくイメージはありません。どんなに荒削りであっても、理想論だとしても、又は当たり前のことでも、目指す方向がしっかりしているからこそ目標に向かっていけるのです。
これをライフデザインに置き換えてみるとどうでしょうか。
人生の目標があり、ライフプランがあり、自分との約束・価値観がある。そのもとで活動を行う。
ということになります。先ほどほとんどの方にとっての人生の目標は幸せに過ごすことではないかと書きました。私も、そうです。幸せの定義が人それぞれ違うので、より自分自身にとっての幸せを深掘りできると良いですね。
FPという仕事は、人生の中でのお金に関するデザインのみを行うものです。企業経営で言えば会計コンサルタントや税理士に当たるかもしれません。ただ、コンサルタントという仕事をしていて思うことは、全体を考える事がとても重要だということです。全体の目標があり、その一部としてファイナンスの話があります。人生も同じだと思うのです。多くのFPはお金の話だけをしているように思いますが、人生設計全体を意識した上でのお金のデザインをするのが本来求められているのだと思います。
お金の管理の重要性
資産と負債のバランスシートと、収入と支出の損益計算書が重要なのも同じ。キャッシュフローもですね。
例えば、会計帳簿をつけていない会社があると聞いたらどう思うでしょうか。大丈夫か?と不安になりますよね。本当に利益が出ているのかどうかわからないし、将来のために投資して良いお金がいくらあるのかもわからない。そんな状態で適切な意思決定ができるとは思えません。
しかし、これが個人のライフプランニングになるとどうでしょうか。損益計算書や貸借対照表というレベルで持っている人は殆どいないとは思いますが、今ある資産の一覧や毎月の収支を把握していない人もいるのではないでしょうか。未来の計画を作るにあたって、やはりそのくらいは把握しておきたいものではないでしょうか。
把握すると言っても、細かく1円単位でやろう、というわけではありません。家計簿をつけることが目標になってしまっては辛くなります。
最近はアプリである程度自動的に家計簿をつけられるようなものも増えてきました。私はMoneytree、Moneyforward、Zaimをそれぞれ登録してつかっていますが、正直どれでも良いと思います。
完璧を求めて消耗してしまうよりも、8割型はしっかりとモニタリングできているという状態にしたいですね。
事業計画とライフサイクル理論
事業計画書があるように、キャリアの計画もあるはずです。
そして、最近は副業という考え方も一般的になってきましたが、企業経営を考えれば新規事業を始めるときにも既存事業と並行して行いますよね。そう考えると、本業と並行して副業を行うと言うのは本人のリソースがけ確保することができれば合理的な訳です。
実際問題としては、本業で忙しいのにそれを同じくらい本気にならなくてはならない副業にどれだけリソースを割けるかという問題がありますが、週休3日制などの議論もありますし今後はより取り組みやすい方に変わっていくことでしょう。
今までは仕事を始めてから定年するまでの40年間同じ仕事をしていても十分価値を出せていたのが、時代の変化のスピードが早くなり複数の仕事をライフサイクルを意識しながら管理する時代になったということです。
事業にはライフサイクルがありますが、金のなる木の事業がある内に問題児である新規事業をどうにかしていくわけです。企業経営で言われていることと全く同じことが個人のライフプランでも当てはまると考えています。
私は資産運用のアドバイスを中心にしているのでキャリアには深く立ち入らないことが多いですが、創業や独立を考えている方向けであれば色々とお話できるかもしれません。
個人におけるライフデザインを考える
それでは個人のライフデザインを考えてみます。
私は下記6つの項目で考えるようにしています。もちろん、より細かくすることも、粗くすることもできるのですがこの6つというのが一番しっくり来ています。
起業の経営であれば、経営目標があって然るべきであり、個人も同じことだと思います。
- 使命-経営理念・ミッション
- ライフデザイン – ビジョン
- ライフプラン – 事業戦略・事業計画
- 資産運用・キャリアデザイン – 個別事業戦略
- 日々の生活 – オペレーション
- 大事にする価値観 – バリュー
それでは一つ一つの項目を見ていきましょう。
使命(生き方・ライフデザイン) – 経営理念・ミッション
まずは使命です。
使命と聞いても、そんなものはないという方も多いでしょう。
それはそれで良いのだと思います。その場合はいつか湧き上がって来たときのために空欄にしておいてください。
我が子を幸せにする!とか、なにかある人は書き留めておくと良いでしょう。
迷ったときに立ち返る場所になります。
有りたい姿 – ビジョン
次に、有りたい姿と書きましたが、人生において実現したいことです。
これは確実に書き入れるようにしてください。
配当生活で悠々自適に暮らす、でも良いです。
その場合は、月○万円の配当を得て、○○(場所)で毎日○○をして過ごす、のようにできるだけ具体的にしたいです。
毎日安心して暮らす、とか、年収○万円を実現する、とか、笑顔で仲間に囲まれて往生する、とか、なんでも良いと思います。
なんでも良いというのは適当ということではなく、人それぞれ違うはずなので私が例示しきれないという意味です。
自分にとってしっくり来る状態を作りたいですね。
ライフプラン – 事業戦略・事業計画
有りたい姿を定義したところで、ライフプランを作っていきましょう。
企業経営では長期経営計画、中期経営計画などがありますが、それと同じことです。
ざっくり10年ごとに計画を作り、直近の10年だけもう少し細かく設計するくらいでちょうどよいでしょう。
フィナンシャルプランニングではライフイベント表というものを作成します。ここには大きな支出のイベントは書いておきたいところですが、キャリアや家族に関する内容もできるだけ書いておきたいですね。
資産計画・キャリアデザイン – 個別事業戦略
やっと資産計画(ファイナンシャルプランニング)が来ました。
使命、有りたい姿、ライフプランを作成した上で資産計画を作ると色々と考えることがあるのではないでしょうか。
少なくとも、「なんとなく漠然と資産を増やしたい」という目標ではなくなると思います。
将来実現したい生活があり、そのために目標となる資産額がある。
その資産額を達成するための資産運用をリスクと目標を調整しながら考えていきます。
個人のバランスシートや毎月の収支計画もここで作っておきたいです。
キャリアデザインなど、お金ではない戦略もここで立てるとベストですね。
日々の生活 – オペレーション
毎月5万円資産運用に回すという目標が資産計画でできたのであれば、それを実現する日々の家計のやりくりです。
または、3年後に○○という仕事で転職するという目標ができたのであれば、それを実現するための資格勉強や人脈作り、自己研鑽です。
家計の倹約のコツや習慣化のコツは私も発信していきますが、そのあたりを活用できると目標達成はグッと近づきます。
大事にする価値観 – バリュー
最後に、バリューです。これは、今まで紹介してきたすべてのポイントの土台となるものです。
自分の価値観がわかっていなければ、適切な目標を立てることは困難です。目標が適切ではない場合、目標を達成したとしても、思ったよりも幸せではない、ということになってしまいます。せっかく頑張ったのに報われない、となるとそれは残念ですよね。
極端な例を出せば、本当は毎日サーフィンをして過ごしたいのに、素敵な森を見つけてゲレンデの目の前の別荘を買ってしまった、という感じでしょうか。
ライフプランも価値観に沿った形であることでよりコミットできますし、達成していて楽しくなるはずです。
そして、日々の生活はまさに価値観が直結してきます。
幸福度を下げずに倹約するためには「価値観に沿わない支出を減らす」というのが重要だったりしますが、価値観がわからなければ選べないですからね。
人生の目標を考えることで資産運用はうまくいく
企業の経営に例えてライフデザインについて紹介してきました。
資産運用というのはライフデザインにおけるあくまでも一つの要素です。
もちろん全体の計画を達成するために重要な要素であることには代わりありませんが、全体との整合性が取れていなければ目標を見失いやる気が無くなったり、達成しても幸福ではなかったりと望ましい結果にはなりません。
資産運用を成功させるためには、まずは人生の目標を考える。
そうして多くの人が資産運用に成功して、人生の目標を達成して、心豊かに暮らせることを本当に願っています。